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【講談者】金子由芳氏について

金子由芳 プロフィール

法学者

神戸大学社会システムイノベーションセンター教授

日本災害復興学会副会長















アジア地域の法制度を主対象に、開発に伴う法と社会変化の問題を、比較法と地域研究とを融合する方法で研究している。災害法研究もその一環だ。アジア諸国の法と開発は新規的領域であり、日本のODAも「法整備支援」として力点を置いているが、専門研究は不足し、私の研究はこの未開拓領域の先端を開いていると考えている。グローバル化や地域統合に伴う法制統一化の波が襲うなか、地域の実状に根ざしたいかなる法整備が求められているか、タイ、インドネシア等のアセアン中核諸国や、ベトナム、ミャンマー、ラオス等の後発諸国の動向にリアルタイムに伴走しながら、有用な政策提言をめざしている。


・研究内容


住民自らが選択できる公助_金子先生


法学×まちづくり


-東日本大震災後の復興の行政の対応

東日本大震災後の復興事業において,大規模災害復興法が出来て住民参加のプロセスは隠蔽され,行政内部の意思決定が優先されるようになったと金子教授は指摘する。住民アンケートでは「迅速でない、安全でない、暮らしが成り立たない」という結果からもそれが伺える。金子教授によれば、阪神淡路大震災を教訓に、神戸でのまちづくりやコミュニティの中で、積み重ねてきた知見や知識を活かし、住民全員が満足いくような方法があったのではないかと示唆している。

高台移転という方法で「安全」を確保したい住民に対して,東海クラスの津波には対応しないレベルⅠ対応の防潮堤の建設が計画された地区があるが、その背後に日本政府は思惑が絡む。日本政府が震災による市民への賠償責任を最小にしたいという思惑があったとされる。さらに、経費削減をするために、高台への移転と防潮堤をつくることによるコストの比較をしたうえで、土地収用に関わる行政的判断を日本政府が下すことを避けたもあったと推測される。さらに、日本政府が市民に向けて、「若い世代は海の近くに住むようになる」というエリアに関しての説明を住民に誇張して伝えた部分もあり、結果的に住民が海側に住んでいた経緯がある。


-コミュニティの崩壊を招いた行政対応-

東日本大震災の以前に、土地所有,借地,借家に関係なく,一軒家に住み、住民同士の中で助け合いながら生活をしていた地区が東北にあった。

日本政府は、住民の住宅権利などを元に、被災地域の住民の住まいの斡旋を行った。しかし、住宅権利を重要視するあまり、復興する過程において、住民が生活する中で、「公営住宅に入る人」,「高台集団移転する人」,「仮設施設に残る人」など、住民の中での災害支援の格差が明確になり、震災前のコミュニティは崩壊してしまった。

住宅や土地の権利などの配分から、災害後の住宅手配の効率性を評価するのではなく、住民のコミュニティの問題も数値化し評価するべきではないかと金子教授は主張している。格差を拡大しない方向での行政が住民への災害後の支援の介入の仕方を考慮するべきであっただろう。安全性についても日本政府が決めるのではなく,住民が入っていくという神戸のテーマを追求すべきだったのではないかと同時に問題提起を行っている。


-法律の運用のあり方とまちづくりを考える-


金子教授は、発展途上国などの法制度について研究をされている。現在、日本初め先進国などで適応されている法律は、近代法と言われ、資本主義をベースとした社会維持するために整備された法体系です。一方で、発展途上国における法律は、住民コミュニティの中で醸成された法律であり、コミュニティの中の慣習文化がベースになっています。そのため、途上国における法律は、近代法のように体系化されてはいませんが、そのコミュニティの文化が色濃く反映されています。また、このコミュニティの中での文化慣習や社会秩序を形成されることは、そこに住んでいる人たちが、お互いを助け合いながら合意形成を行うことで、住民の主体的な自治にもつながる。

東日本大震災の際の住民の意見や考えを考慮することなく、行政主体でまちづくりを行うのではなく、住民と対話を重ねて、住民主体的に自治を行う土壌を耕すための法律を整えるべきだと金子教授は強く主張している。


・講演内容


「東北復興の10年を振り返る~被災地商工者アンケートからのESGの学び」


講演要旨:国家が再配分機能を通じて公共政策を実現する福祉国家観のもとでは、企業はシンプルに営利活動に徹する存在であり得た。しかし国家が「小さな政府」を標榜 し新自由主義に傾斜する現在、後退する公助を埋める自助・共助が強調され、環境社会配慮型の企業を応援するESG投資もその文脈にある。企業は法人減税分をどこまで公共に還元しえるのか。高配当を要求する株主至上主義型のコーポレー ト・ガバナンスを卒業し、環境配慮や雇用維持を通じて未来に投資する企業を、 低配当に拘わらず応援する投資家層は、はたして育っているのか。ESG投資が キャピタルゲイン減税の正当化に終わらないためにも、環境社会配慮を行う企業の総合的価値を客観化する手法が待たれる。本報告では、東日本大震災10年の節 目に被災地の商工団体の支援で実施した復興調査をもとに、逆境を乗り越え地域 社会のため立ち上がる企業セクターの動向から示唆を引き出す。




乞うご期待!

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